2021年11月14日

板目の一枚板のまな板のデメリット

板目の一枚板のまな板のデメリット

「一枚板ですか?」それって、柾目?板目?

まな板の材質に関するお問い合わせで多いのが、「一枚板じゃないんですか?」という質問です。

まな板が一枚板かどうかにこだわりを持たれているお客様は非常に多いです。ですが、こちらから「お求めになられているのは、柾目の一枚板ですか?板目の一枚板ですか?」と尋ねると多くの方は、「どちらでも良い」とかそもそも板目と柾目が分かっていらっしゃらない方もいらっしゃいます。

一枚板かどうかよりも、柾目なのか、板目なのかの方が実はずっと重要なのに。インターネットではよく一枚板の桧やひばのまな板が販売されていますが、その多くは板目材の一枚板です。柾目の一枚板なんてほぼありません。何より私たちが憤りを感じるのは、一枚板と大々的に触れ込みで販売している多くの商品が、柾目か板目かについてや、板目のデメリットについては一切触れておらず、多くの場合が板目である事です。

柾目と板目

Photo.1 板目と柾目

 

板目の一枚板の落とし穴

では板目だと何が悪いのか?板目は材料が収縮しやすいので、反りやすく割れやすいのです。まな板にすると使い始めた翌日に反ったり割れたりすることも珍しくありません。

「例え一枚板であってもすぐに反って割れる板目のまな板に価値がありますか?」と私たちは思うのです。柾目材を集成加工したまな板の方がずっと反りににくいし、割れにくいし、長持ちするのに。

 もちろん、柾目板の一枚板であればそれが最高です。が、家庭サイズのまな板の幅、20~24cmほどもある柾目の一枚板の桧を目にすることなんて私たち材木のプロでもなかなかありません。希少で高価な為、まな板に加工しても、現実的な値段になりません。

割れた板目の一枚板まな板Photo.2 板目の一枚板まな板の割れ 

 

板目の一枚板より柾目の巾接ぎ材

梅沢木材工芸社では、基本的に板目のまな板は販売していません。公式ショップで販売されているまな板はすべて、巾方向に柾目の数枚の板を並べて接着する巾接ぎ材と呼ばれる集成材です。

現在の集成材を接着する技術、接着剤の品質、接着剤の安全性は非常に高くなっています。接着した部分が剥がれることもまずありません。建築の世界では、無垢の材よりも、集成接着加工した材の方が、強度や耐久性に優れていることが当たり前になっています。CLTと呼ばれる桧の集成材を使って、10階建てのビルが建つ時代です。

すぐに反って割れてしまう板目の一枚板まな板よりも、柾目材を集成加工したまな板の方がずっと耐久性があり、長持ちするというのが私たち梅沢木材工芸社の考え方です。